古物営業における中古車買取の注意点

開業!中古車屋さん

古物商許可証の取り方から 古物営業の現実まで〜

 実務における中古車買取の注意点 

 自動車商の古物商許可証を取得すればーーー 晴れて 「中古車」の買い付け(買取り・下取り)が出来るようになるわけなんですが、

 これから中古車を買取るぞ! という方に、
ちょっとした注意事項を1〜2点ほど紹介しておきますので、簡単にでも目を通されておいて頂きたい。
! 非対面取引きの場合は除く

 それはーーー

 何が何でも! とにかく! その買取りの対象となる自動車の所有者と、対面で取引きを行う事!!! また、代金も、必本人の手元へ渡す事!!!
(! 振込の場合は、必ずその本人名義の口座へ振り込む事)

 です。

 な〜んだ、古物の取引きは原則対面取引きで、本人確認も抜かりなくやってるから大丈夫だよーーー 古物許可の取得者として、最低限の決まり事じゃん・・・

 と、思われた方!

 確かに、古物を取り扱う以上、必ず守らなければならない事は、これらが最低限の条件とも言えますが、ただいくら古物商許可者と言えども、許可者もやはり人間でありますから、ちょっとした死角を突かれてしまうと・・・ この決まり事でさえも、その牙城を簡単に崩されてしまう事もあるんです。

 例えば・・・ 身内内での中古車の売買。
(! 分かりやすく、ちょっとストーリー仕立てに解説しておきますね ^^)

 とある日、とあるカップルが中古車(軽自動車)を買いに来てくれ、その日に即決でご購入頂きました。 とても仲の良いカップルで、彼氏が、彼女の為に自動車を買ってあげるそうで、支払いは彼氏で、自動車の名義は彼女名義という事で話はまとまりました。

 その後の取引きも順調で、入金から名義変更まで難なくスムーズに進み、そのカップルの下に中古車が納車されました。

 しかしーーー

 その納車から数日後、その彼氏がーーー
「彼女が自動車に乗らなくなったから、買い取ってくれるお店を探している」

 との事。

 有名な某買取専門店でも査定してもらっていた様子でしたが、その査定価格に不満があり、この車を買ったお店であれば、融通を利かせてくれて 良い条件で買い取ってくれるのでは? という理由で、こちらに連絡してくれて来たご様子。

 こちらはもちろん快諾。

 今後、またいつかリピーターになってくれるかもしれませんし、一度は購入して頂いているお客様だけに、感謝の意を込めて、こちらで買取りをOKする事に。

 その翌日、早速その自動車と、彼女名義の印鑑を準備してご来店された彼氏。 しかし、彼氏の近くには、先日一緒に居た彼女の姿は見当たりません。

 どうしたものか? と、たずねると、

 「彼女は仕事の忙しい時期で、しばらく仕事で一緒に来れそうもないので、彼女から自動車と印鑑を預かってきた。 私も本当は今仕事が忙しいのだが、次ぎはいつ来れるか分からないという事もあり、今日は特別に休みを取って来た」

 との事。

 こちらはちょっと戸惑いもあったが、

  1. ・その自動車の代金は彼氏が支払っていた
  2. ・彼女とも面識がある
  3. ・わざわざ休みを取って来てくれている
  4. ・彼女名義の印鑑(認印)もある ←(軽自動車なので、名義変更には印鑑証明は一切不要)
  5. ・車の現物もある

 という条件もあり、
その彼氏を信用し買取る事に。 もちろん代金も、その場で清算。
(! 領収書も彼氏の代筆)

 しかし・・・ その数日後、
今度はいきなりとある警察署から電話が。

 なんと!

 その彼氏が売りに来た自動車に、「盗難届け」が出たのである!

 事情をよくよく聞いてみると・・・
彼氏が勝手に車と印鑑を持ち出し、車を勝手に売って何処かへ逃げたらしい。 完全に盗難事件なわけである。

 こうなったらお手上げ。

 買取った車は、彼女自身の承諾なく売られてしまっていたわけですから、無条件に彼女の元へ返さなければいけません。

 またもちろん 「盗難」なわけですから、彼女から1円も貰えるわけがありません。
(! 彼氏から、支払ったお金を返してもらう以外方法はありません)

 しかも、事件は人身に関るところは全くありませんので、事件といってもそう簡単に解決するとも思えず、結局、この一件は迷宮入り。

 つまり、

 買取ったはずの自動車も返さなければいけず、支払った買取代金も返ってこず・・・

 完全に詐欺の被害者に。
(! もちろん、古物商取得者としての本人確認も怠ったとーーー という事で、”お上” からはお叱りの指導? も入っちゃったようですし。。。)

 あの時、変な 「情」や 「馴れ合い」に流されず、間違いなく本人と取引きを交わしていればーーー 現金の支払いも、口座振込(銀行振込)など、名義人本人へ確実に渡せる方法で取引きしていたらーーー と、いろいろ悔やんでみても、もはや後の祭り。

 ・・・と、こうならないためにも、
古物の取引きには 「情」や 「馴れ合い」等の特別な感情を入れる事なく、間違いのない確実な取引き方法を心がけましょうね〜 ^o^)ノ

 ちなみに・・・ この一例は、
私が中古車業界で仕事をする中で、実際に目の前で体験した一件でした。
(! まだ独立する前の話ではあるんですが・・・)

 という事で、

 何がなんでも! いかなる理由があっても、いかなる事情があったとしてもーーー 必ず古物営業のルールと基本に則った、古物業務を心がけましょうね〜 ^^

 その他、何も 「詐欺」の被害ばかりだけでなく、
代金は名義人本人の口座へ振り込むーーー 重複した本人確認ーーー という条件を遂行したおかげで、何かしらの事件に繋がる恐れを未然に防げた・・・ という事もありますので、、、

(! この時は、その自動車の名義人の実印が捺印された書類と、その印鑑登録証明書の原本を持参されていたのですが、さすがに金額が大きいので、さらなる確実な本人確認のためにもーーー こちらは銀行振込を提示。

しかしーーー どうしても現金取引を望んでくるので、さらに免許証の確認を求めたところ・・・ その持ち込まれた人物は、その自動車の名義人の本人ではない事が発覚。

  「実は友達から依頼された」

という話に切り替わったのですが、
さすがに取引き相手が本人ではない事が分かったので、これにて取引き商談は終了。

いくら 「印鑑登録証明書」と 「委任状(実印が押してある)」があったとしても、その自動車を持ち込まれている本人が、その自動車の持ち主ではないと分かると、古物営業法による確実な 「本人確認」に値しませんので、古物商取引きのガイドライン?をお話し、納得頂いた上で丁重にお断り致しました。

まあ、このお話は、実際にあった事を、やや簡略して分かりやすく紹介してみましたが、
今回は印鑑登録証明書などの書類の一切が揃っていたため、盗難とは考え難いですが、ただいわゆる 「事件」の可能性もあるわけで、もし、印鑑登録証明書を完全に過信し、免許証の確認をしなかったら・・・ それこそ大きな事件にまで発展していたかもしれません)

 まあ本人確認には、
出来るだけ十分に! 臨機応変に! 納得がいくまで徹底しましょうね〜 ^^

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